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バイオマスエネルギーの起源について考える

日本を含む先進国ではバイオマスエネルギーというとバイオマス発電や燃料としての代替燃料をイメージするかもしれない。けれども、開発途上国の視点でバイオマスを検討すると、また違った側面がみえてくる。たとえば、世界人口の15-20%の人びとが薪に依存した調理をしている。薪もまた、バイオマスエネルギーである。このように、本レポートでは、開発途上国からみたバイオマスエネルギーの開発について解説します。

開発途上国では、広範に農業が行われており、そこではバイオマスエネルギーを有効利用することが考えられる。特に、家畜や水田から排出されるメタンを回収してエネルギーを回収してエネルギーとするバイオーメタン化は環境負荷物質の削減という意味で、地球温暖化防止にも結びつく。つまり、バイオマスエネルギーは、燃焼による熱利用や発電を目的としており、未利用のバイオマスを有効活用することで、既存のかせきねんりょうからの代替を進め、地球温暖化防止に役立てることができる。

 例えば、フィリピンの場合、1996年の発生源別エネルギー消費(石油換算)におけるバイオマスエネルギーは23.8%に達している。開発途上国の木材生産量が薪炭向けであるために熱帯林減少の要因のように非難されることがあるが、薪は枝、柴、倒木、枯れ木などを利用する場合が多く、枝が再生する範囲での採取は持続可能である。また、フィリピンでは地熱発電が総電力量の約半数を占めているという点からも、開発途上国では、バイオマスエネルギーのような自然条件、農業、森林を地球温暖化防止に活かす余地が大いに残っているといえる。

 GEFによるバイオマスエネルギー開発は、グローバルな計画として1500万$の経費を計上し、この他、中国で3570万$、ボリビアで450万$、インドネシアで600万$の再生可能エネルギー開発計画がある。バイオマス発電も、ユーカリのチップを利用したタービンについて研究していたが、ブラジルで32メガワットの発電をつくる計画が持ち上がっている。ブラジルでは、ほかにもバイオマスーガスタービン開発、バガス発電が検討されている。また、インドではバイオーメタン化による温室効果ガス削減計画も進めている。廃棄物を燃料として再利用する廃棄物発電についても、GEFは、中国で883万$、タンザニアで250万ドル、ヨルダンで250万ドルの廃棄物発電拡充計画を進めている。実際に、廃棄物のマテリアルリサイクルとサーマルリサイクルを比較すると、前者はリサイクルに要する回収・分別・再資源化のための労力・エネルギーが大きすぎ、LCAの観点からは環境調和的ではない場合も多い。そこで、廃棄物発電は、ゴミの燃料化によって、効率的なサーマルリサイクルに結びつく。さらに、メタンを回収し、有効利用することが検討されても良いと言える。

 さらに、バイオマスエネルギーの効率を改善できれば、化石燃料からバイオマスへの代替だけでなく、バイオマスの消費自体も節約できるだろう。中でも薪炭は、調理・暖房だけでなく工業でも幅広く利用されている。開発途上国の村落では、薪炭による煮炊きをするための効率的な設備が少ない。熱の利用効率を高めるためにも粘土やコンクリートによって熱損失の少ない効率コンロを配布し、それを用いればエネルギー効率も向上するだろう。実際に、米国援助庁では、1980年代から開発途上国の薪炭生産用のアグロフォレストリー、効率コンロ、バイオガス回収利用などの実用性を調査し、改良型のコンロの設計・試作も行っている。つまり、CO2排出削減につながる有効な草の根の環境保全といえるだろう。したがって、再生可能エネルギー開発には、ハイテク以外にも、現地の実状に見合った安価で効率のよい適正技術を開発し、それを広く普及することが求められる。

『貴州省の里山バイオマス』タイトル「バイオマスエネルギーとコモンズ」

<http://www.geocities.jp/torikai007/china/firewoods2006.html>


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